「不屈のプレーボール」
 (2002年、河出書房新社刊、1400円)

 大学野球では田淵幸一(現阪神コーチ)を抜く本塁打記録を作りながら、プロ野球にドラフト指名されて入団後は、ヒットの一本に苦しみ、悩み苦しんだ末、だんご屋に転身した元阪神外野手、森山正義選手の、一念発起の決意。
 ドカベンと慕われ、甲子園のアイドルだった元南海の香川伸行捕手が、高校野球日本選抜チームの一員としてハワイ遠征以来、抱き続けていた淡いロマンスと数十年後の偶然の出会いの結末は。

  世紀のホームラン王、王貞治・現ダイエー監督と高校時代からライバルで、互いに「ワンちゃん」すずめ」と呼び合って、プロ入り後も好敵手としていくつもの名勝負を遺した広島・大羽進投手の回想など、元プロ野球選手十六人の秘話が綴られている。

 現役時代や少年期の思い出、体験などを織りこみながら、どんな有名選手もこれまでマスコミで取り上げられなかったエピソードだけが披露されており、野球物としては異色作。
 江夏豊氏は「野球人にとって、やっぱり野球は宝物。でも、球場を去った後の全ての野球人には、野球以上の素晴らしい宝物をみつけてもらいたい」と帯で推薦の言葉を贈っている。
 ちなみに、物語で取り上げた他の選手はーー。

 @柴田保光(西武、投手)A長田博幸(日ハム、捕手)B郭源治(中日、投手)C永淵洋三(近鉄、外野手)D定岡徹久(広島、外野手)E横山忠夫(巨人、投手)F坂口慶三郎(阪神、外野手)G安仁屋宗八(広島、投手)H有沢賢持(ヤクルト、投手)I石井雅博(巨人、外野手)J市川和正(大洋、捕手)K前泊哲明(大洋、投手)L大田卓司(元西鉄、外野手)。
 

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